根管治療は何回通院が必要?回数と期間の目安を歯科医が徹底解説

歯の神経まで達した虫歯の治療で「根管治療が必要です」と言われたとき、多くの方が不安に感じるのは「いったい何回通院すれば終わるのだろう」ということではないでしょうか。

仕事や家事で忙しい中、何度も歯科医院に通う時間を確保できるのか。治療期間が長引けば、その分費用もかさむのではないか。そんな心配をされる方も少なくありません。

根管治療の通院回数は、歯の状態や治療の難易度によって大きく異なります。一般的には2〜5回程度ですが、症状が進行している場合や再治療の場合は、さらに回数が増えることもあります。

この記事では、長年歯科口腔外科医として臨床経験を積んできた立場から、根管治療の通院回数と期間の目安、回数が増える原因、そして通院を減らすためのポイントまで詳しく解説します。

根管治療とは?歯を残すための大切な治療

根管治療とは、歯の神経が入っている管(根管)の中を清掃・消毒する治療のことです。

虫歯が進行して歯髄(しずい)と呼ばれる神経や血管を含む組織にまで細菌感染が及ぶと、激しい痛みが生じます。この状態を放置すると、神経が壊死して一時的に痛みは治まりますが、根の先に膿が溜まり、さらに深刻な状態になります。

根管治療では、感染した神経を取り除き、根管内部を徹底的に殺菌・消毒します。その後、薬剤を詰めて密閉することで、再発を防ぎます。

かつては抜歯以外に選択肢がなかった症例でも、根管治療によって歯を残せる可能性が高まっています。歯を失うと、噛む機能が低下するだけでなく、隣の歯が移動したり、かみ合わせのバランスが崩れたりする恐れがあります。

根管治療は、ご自身の歯を守るための最後の砦とも言える重要な治療なのです。

根管治療の通院回数は平均2〜5回程度

根管治療の通院回数は、歯の種類や症状の進行度によって異なります。

前歯の初回治療:2〜3回程度

前歯は根管の数が少なく、通常1〜2本です。そのため、根管内の清掃・消毒が比較的スムーズに進みます。歯根の周囲に異変がなければ、1回で根管治療が終了し、その後かぶせ物の装着のために2〜3回通院すれば治療が完了するケースもあります。

奥歯の初回治療:3〜4回程度

奥歯は根管の数が多く、2〜4本ほどあります。根管の数が多い分、洗浄・殺菌・薬剤の充填に時間がかかります。そのため、根管治療自体の通院回数は2〜3回、かぶせ物を装着するための通院と合わせると4〜6回程度が目安です。

再治療の場合:4〜8回以上

以前に根管治療を受けた歯が再び感染した場合、再治療が必要になります。再治療では、かぶせ物を外し、根管に詰めた古い薬剤を取り除く処置が追加で必要です。

根管が再感染しているため、徹底的に殺菌する必要があり、神経を取り除くことで歯がもろくなっているため、初回治療よりも精度の高い治療が求められます。前歯でも3〜4回、奥歯では4〜5回、場合によっては6〜8回以上の通院が必要になることもあります。

根管治療の期間はどれくらいかかる?

根管治療の期間は、通院回数だけでなく、通院の頻度によっても変わります。

保険診療の場合:1週間に1回のペース

保険診療では、1週間に1回のペースで治療を進めるのが一般的です。軽症であれば数週間、重症例では数ヶ月の治療期間を要することもあります。

同じ部位に麻酔を頻繁に打つことによる影響を避けるため、2週間に1回の通院としている歯科医院もあります。その場合、治療期間は2〜4ヶ月ほどになります。

自費診療の場合:短期集中治療も可能

自費診療では、1回の診療時間を長くとることができ、さまざまな薬剤や機材を使えるため、1〜3回程度で終わることが多いです。短期集中的に根管治療を行うため、数日で終わることも珍しくありません。

忙しくて何度も通院できない方や、早く治療を終えたい方には、自費診療という選択肢もあります。

根管治療の回数が増える5つの原因

根管治療の回数が平均よりも多くなるケースがあります。その主な原因を解説します。

1. 根管が枝分かれしている

根管は複雑な形状をしており、枝分かれしている場合があります。全ての通り道を消毒するのに時間がかかるため、通院回数が平均よりも多くなる傾向にあります。迷路のように複雑な形状をしている根管の場合、通院回数が大幅に増えることもあります。

2. 根管がふさがっている

長期間にわたり虫歯にかかっていると、根管が石灰化して硬くなり、ふさがってしまうことがあります。根管治療後の感染を防ぐためには、ふさがっている場所を開ける必要があり、治療に時間がかかります。

3. 見つかりにくい根管がある

通常の根管の数よりも多い「副根管」が存在する場合があります。副根管は見つけにくく、発見できないまま治療を終えると再発の原因になります。そのため、慎重に探索する必要があり、治療回数が増えることがあります。

4. 根管がカーブしている

根管がカーブしている場合、器具が奥まで届きにくく、清掃・消毒に時間がかかります。無理に器具を進めると根管を傷つける恐れがあるため、慎重な処置が必要です。

5. 痛みや炎症が長引いている

感染が広範囲に及んでいる場合や、炎症が強い場合は、炎症がおさまるのを待つ必要があります。そのため、治療回数が増えることがあります。

根管治療の具体的な流れ

根管治療は、複数のステップを経て進められます。各ステップの内容を理解しておくと、治療への不安も軽減されます。

STEP1:検査・診断

まず、口の中の状態を目視で確認します。その後、レントゲンやCTなどの検査機器による画像診断により、根管内の状態を正確に把握します。3次元的な画像が得られるCT撮影は、根管の数や位置関係、曲がり具合などを精密に確認するために大きな力を発揮します。

STEP2:虫歯部分やかぶせ物の除去

かぶせ物を取り除いたり、歯の表面を削ったりして、根管を治療できる状態にします。なるべく多く歯を残せるよう、丁寧に作業します。

STEP3:神経や詰め物の除去

ファイルやリーマーという細い器具を使用し、細菌に感染した神経や血管を除去します。以前に神経の治療をした歯の場合は、根管内に詰まっている古い薬を除去し、膿を排出できる状態にします。根管内は構造が複雑なので、取り残しや内部の損傷を防ぐため、慎重な処置が必要です。

STEP4:根管内部の殺菌・掃除

虫歯菌や削った歯などが根管内に残ると、再発の危険性があります。薬剤を使用して、徹底的に消毒・掃除を行います。自費診療の場合は、医療用レーザーを使って効率良く殺菌することも可能です。

STEP5:貼薬(必要に応じて)

強い炎症がある場合や、細菌に感染している可能性が高いと判断された場合は、根管内の細菌を除去するために「貼薬」をします。水酸化カルシウムを根管内に入れ、患部にふたをして、しばらく様子を見ます。炎症や根管内の感染がない場合は、貼薬をせずに次のステップに進みます。

STEP6:根管充填

完全に除菌できたら、根管内のすみずみまで歯科用のセメントを流し込み、空洞をなくします。虫歯菌が再び増殖しないよう、根管内の隙間を全て埋めます。保険診療ではガッタパーチャと呼ばれる樹脂で封鎖します。自費診療では、殺菌作用のあるMTAセメントを併用でき、膨張する性質を備えているため、根管内を隙間なく埋めることが可能です。

STEP7:根管を密封・かぶせ物の土台づくり

根管内のセメントが固まり完全に密封できたら、かぶせ物を装着するための土台を整えます。土台には、根管内への細菌の侵入を防ぎ、歯を補強する役割があります。

STEP8:かぶせ物装着

土台に合わせて製作したかぶせ物を装着し、噛み合わせを調整して、治療終了です。

根管治療の通院回数を減らすための4つのポイント

根管治療の通院回数を減らすためには、いくつかのポイントがあります。

1. 自費診療を選択する

自費診療では、保険診療では使えない機材や薬剤を活用できたり、1回の診療時間を長くとったりできるため、通院回数が少なく、治療期間も短くすることが可能です。何より自費診療なら根管治療の成功率を高められるので、治療の質や精度を追求する方にはメリットの多い治療法です。

2. 機器や設備が充実した歯科医院を選ぶ

マイクロスコープや拡大鏡(高倍率ルーペ)を使用した精密根管治療を提供している歯科医院では、根管内を拡大して確認できるため、取り残しを防ぎ、治療の成功率が向上します。視野拡大機器の使用は、根管治療の成功率向上に重要とされています。

3. 根管治療に強い歯科医師の診察を受ける

根管治療は高度な技術を要する治療です。歯科口腔外科での臨床経験が豊富な歯科医師や、根管治療を専門とする歯科医師の診察を受けることで、治療の精度が高まり、通院回数を減らせる可能性があります。

4. こまめに定期健診を受ける

虫歯を早期に発見し、神経に達する前に治療を行えば、根管治療が必要になることを防げます。定期的に歯科医院で検診やクリーニングを受けることで、むし歯や歯周病を予防し、お口の健康を守ることができます。

根管治療の費用はどれくらい?

根管治療の費用は、保険診療か自費診療かによって大きく異なります。

保険診療の場合

保険診療では、1回あたり2,000〜3,000円程度(1〜3割負担、根管の本数により変動)です。治療回数が多くなると、総額も増えますが、自費診療と比べると費用負担は少なくなります。

自費診療の場合

自費診療では、6万〜100万円程度と幅があります。前歯〜大臼歯で費用が異なり、マイクロスコープやラバーダム防湿を併用した精密治療の場合、1本あたり総額35〜45万円程度が相場です。

自費診療は費用が高額ですが、治療の成功率が高く、通院回数も少なくできるため、長期的に見ればメリットが大きいと考えられます。

よく歯科での根管治療の特徴

よく歯科では、長年歯科口腔外科医としての臨床経験を持つ院長が、根管治療を担当しています。総合病院の歯科口腔外科での勤務経験もあり、有病者の方の歯科治療にも対応可能です。

持病のある方にも安心して歯科治療を受けていただけるように、体調に配慮しながら診療を心がけております。服用中のお薬なども含めて初診時にしっかりお話をうかがい、お一人お一人に合った治療を行います。

また、皮膚科と併設しているため、金属アレルギーの検査や口腔内の炎症による掌蹠膿疱症のような疾患の診断・治療が可能です。金属を使わない「メタルフリー治療」をおすすめしており、セラミックなどの素材であれば、金属アレルギーの心配がなく、むし歯にもなりにくいといったメリットもあります。

より専門的な検査・治療が必要な場合は、連携している高次医療機関をご紹介する体制も整えており、患者さんが安心して来院できる環境を提供しています。

まとめ:根管治療は早めの受診が大切

根管治療の通院回数は、一般的に2〜5回程度ですが、歯の状態や治療の難易度によって異なります。

前歯の初回治療であれば2〜3回、奥歯の初回治療であれば3〜4回、再治療の場合は4〜8回以上かかることもあります。治療期間は、保険診療では数週間から数ヶ月、自費診療では数日から数週間が目安です。

根管治療の回数が増える原因としては、根管が枝分かれしている、ふさがっている、見つかりにくい根管がある、カーブしている、痛みや炎症が長引いているなどがあります。

通院回数を減らすためには、自費診療を選択する、機器や設備が充実した歯科医院を選ぶ、根管治療に強い歯科医師の診察を受ける、こまめに定期健診を受けることが大切です。

何より重要なのは、虫歯を放置せず、早めに歯科医院を受診することです。虫歯が進行すればするほど、治療回数も期間も費用も増えてしまいます。

歯に痛みや違和感を感じたら、早めにご相談ください。根管治療によって、ご自身の歯を残せる可能性が高まります。

根管治療についてご不安な点やご質問がありましたら、お気軽にお問い合わせください。詳しい治療内容や費用については、よく歯科 根管治療のページをご覧ください。

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著者情報

院長

伊藤 翼 (いとう よく)

皆さん、こんにちは。
このたび【よく歯科】を開院いたしました、
院長の伊藤 翼(いとう よく)です。

私は大学病院や尾道総合病院にて、17年間口腔外科の治療に携わってきました。
そのため、全身状態を把握しての歯科診療を得意としており、当院でもその経験をもとに、医科の先生方と連携を図りながら、地域の皆さんに高水準の歯科診療をご提供いたします。

また、口腔がんの診査診断・治療の経験も多いので、一般的な歯科医院では難しい症状の判別も行うことができます。
口腔がんは口内炎と間違えて発見が手遅れになることも多いので、大きな病院まで行かなくても早期発見ができるよう細心の注意を払って診療を行います。

お口の健康から、地域の皆さんの身体の健康づくりに貢献できるよう、誠心誠意診療を行ってまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。

経歴

  • 2007年3月
    北海道医療大学歯学部歯学科 卒業
  • 2007年4月
    広島大学病院 歯科研修医
  • 2012年4月
    広島大学病院 顎・口腔外科 医員
  • 2015年4月
    JA尾道総合病院 歯科副部長
  • 2022年4月
    JA尾道総合病院 歯科主任部長

資格・所属

  • 広島大学 博士号
  • 歯科研修指導医
  • 日本口腔外科学会 認定医
  • 緩和ケア研修指導医師

 
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