ホワイトニングで歯が白くなるのは嬉しいけれど、施術中や施術後に痛みやしみる症状が出て不安になった経験はありませんか?
実は、ホワイトニングで痛みを感じることは珍しくありません。多くの場合は一時的なものですが、原因を理解して適切に対処することで、より快適にホワイトニングを受けることができます。
私は広島大学病院やJA尾道総合病院で17年間口腔外科の治療に携わり、現在は福山市でよく歯科の院長を務めています。これまでの経験から、ホワイトニングの痛みに関する患者さんの不安や疑問に数多く向き合ってきました。
この記事では、ホワイトニングで痛みやしみる症状が起こる原因、施術中・施術後の対処法、そして痛みを予防するための実践的なアドバイスをご紹介します。
ホワイトニングで痛みが起こる主な原因
ホワイトニングは歯を削ったり神経をいじったりする治療ではありません。しかし、施術の際や施術後に痛みを感じることがあります。
まず、どのような原因で痛みが生じるのかを理解しておきましょう。

ホワイトニング剤による刺激
ホワイトニングでは、歯の内部にある色素を分解する薬剤を使用します。
一般的に過酸化水素水が使われ、歯を白くするために比較的高濃度(約35%)のものが使用されます。健康な歯であれば問題ありませんが、歯の表面に傷やヒビがあると浸透しやすくなり、しみやすくなります。
この成分が歯の表面を通って内側に届く過程で、神経に近い部分へ刺激が伝わることがあります。その影響により、「しみる」や「ズキズキする」といった症状が現れる場合があります。
濃度が濃いほど、また施術時間が長いほど、しみやすくなる傾向があります。
施術中の熱による刺激
オフィスホワイトニングでは、薬剤の効果を高めるために光を照射する機械を使用することがあります。
この際に発生する熱が刺激となり、もともと知覚過敏の傾向がある方は痛みを感じる場合があります。施術中に発生するホワイトニング機器の熱も、歯がしみる原因の一つです。
知覚過敏の傾向
普段から熱いものや冷たいものがしみやすい方は、ホワイトニングでも痛みを感じやすい傾向があります。
知覚過敏とは、刺激が歯の神経に伝わりやすくなる状態です。歯髄やエナメル質の直下にある象牙質には痛みを感じる知覚神経があり、これが刺激を受けると熱さや冷たさなどに対してしみるような痛みを感じることがあります。
この傾向がある方は、施術を受ける前に歯科医師に相談することをおすすめします。
歯の表面の状態
歯ぎしりなどでエナメル質が削られて象牙質が表出してしまうと、ホワイトニングを行った際にしみることがあります。
また、歯の表面に細かな傷がついていることもあります。傷がエナメル質にとどまっていれば問題ありませんが、象牙質まで達していると痛みを起こす場合があります。
人によっては先天的にエナメル質形成異常ということもあり、施術前に自分の歯がしみやすいかを確認した方が良いでしょう。
むし歯や歯周病の存在
むし歯によってダメージを負った部分に薬剤がしみてしまい、痛みを感じることがあります。
また、歯周病により歯ぐきが下がってしまうことで象牙質が露出し、痛みを感じることがあります。小さなむし歯や歯のひび(マイクロクラック)があると、薬剤が内部に入り込みやすくなり、強いしみを感じることがあります。
虫歯の治療で詰め物をしたところにすきまができている場合も、ホワイトニング剤が象牙質まで入り込んでしみることがあります。
歯ぐきへの薬剤付着
薬剤が歯ぐきに直接付着すると、一時的にヒリヒリしたり、軽い炎症が起こることがあります。
特に、加齢や歯周病で歯ぐきが下がっている箇所は刺激を受けやすいため注意が必要です。ホワイトニング剤が歯ぐきに触れると、一時的に歯ぐきが赤くなったり腫れたりすることがあります。
施術直後の歯の状態変化
ホワイトニング直後は、歯の表面を保護している膜(ペリクル層)が剥がれ、一時的に水分バランスが変化して、刺激を感じやすくなることがあります。
ホワイトニングによってこのペリクル層が剥離してしまうと、一時的に知覚過敏に陥ることが考えられます。24時間程度で再生する膜なので、痛みが強い場合は一旦休むのもよいでしょう。
こうした症状は、通常24時間から48時間ほどで落ち着くことが多いとされています。
ホワイトニング中に痛みを感じたときの対処法
施術中に痛みを感じた場合は、無理をせず適切に対応することが大切です。

歯が痛い・しみる場合
強い痛みを感じたときは、無理せずホワイトニングを中止してください。
ホワイトニングジェルに含まれている成分と薬液の濃度により、歯の神経が刺激を受け歯が痛い・しみると感じることがあります。歯の表面のエナメル質が薄かったり、傷ついていたりすると特に強くしみます。
歯が欠けていたり割れている場合は、その歯を治療・保護すればホワイトニングを続けることが可能です。歯科医師に相談すべきです。
一時的に知覚過敏が生じることがあります。通常は数十時間で消退しますが、まずは一時中断しましょう。その後は状況に応じて対応した方がいいです。
歯ぐきが痛い場合
ホワイトニング中に歯ぐきがピリピリ・ヒリヒリする場合があります。
ホワイトニングジェルの量が多くマウスピースの外に漏れたり、歯茎にジェルがついたりすると歯茎が痛む原因となります。マウスピースの外に漏れたら、すぐにティッシュなどで拭きとります。
それでも薬液が付着していて歯茎が痛い感じがしたら、すぐにティッシュなどで痛い部分を拭きます。ホワイトニングジェルが取り除かれれば、痛みは落ち着くでしょう。
のどが痛い場合
ホワイトニング中にのどがヒリヒリ・ピリピリする場合があります。
ホワイトニングジェルの量が多かったりすると、マウスピースの内側からジェルが漏れだしてのどに流れてしまうことがあります。これが起こるとのどがヒリヒリ・ピリピリ痛いということが起こります。
すぐに口をゆすぎ、薬剤を洗い流してください。ホワイトニングを中断し、歯科医師に相談することをおすすめします。
ホワイトニング後に痛みを感じたときの対処法
施術後に痛みを感じた場合でも、適切に対応することで症状の軽減が期待できます。
冷たいもの・熱いものを避ける
施術直後は歯が刺激を受けやすくなっているため、冷水や氷、熱いスープやコーヒーなどは控えるとよいでしょう。
常温の飲食物を選ぶことで、歯への負担を減らしやすくなります。濃いホワイトニング剤を使用したときに起こる痛みは、人によっては不快な痛みにまで感じることがあります。
もともとしみやすい人は、予め歯科医師に相談して対策を講じてもらいましょう。痛みがひどい場合は、鎮痛剤を処方してもらえることもあります。
辛いもの・しょっぱいものを控える
辛すぎるもの、しょっぱすぎるものをなるべく避け、しみによる痛みに対策します。
優しい味付けのものをしっかり冷まし、ゆっくり食べるのがよいでしょう。施術後24時間は特に注意が必要です。
知覚過敏用の歯磨き粉を使用する
歯磨き粉には、知覚過敏に配慮したタイプもあります。
こうした歯磨き粉を継続して使用することで、徐々に症状が落ち着くことがあります。エナメル層を強くするフッ素で手当てする、または市販の歯磨き粉やジェルなどでケアします。
もしくは、知覚過敏用の歯磨き粉を使ってケアするのもいいでしょう。カリウムイオンが歯を保護してくれます。
力を入れすぎないように優しい力で、歯の1本1本を丁寧に磨くようにしましょう。
歯科医師へ相談する
痛みが強い、または数日たっても改善しない場合は歯科医院で相談しましょう。
薬剤の塗布やコーティング処置、施術間隔の調整など、歯の状態に合わせた対応が検討されることがあります。基本的には1~4日程度で痛みは治まっていきますが、無理せず相談することも大切です。
ホワイトニングを一時的に中断する
自宅で行うホームホワイトニングを行っている場合は、数日間休むことで症状が落ち着くことがあります。
無理に続けると刺激が強まる可能性があるため、様子を見ながら再開時期を検討しましょう。

ホワイトニングの痛みを予防するために
事前の準備や日常のケアによって、ホワイトニングの痛みのリスクを抑えることが期待できます。
事前にむし歯や歯周病を治療しておく
むし歯や歯ぐきの炎症がある状態でホワイトニングを行うと、薬剤の刺激が内部に伝わりやすくなり、痛みが出ることがあります。
事前の検査で口腔内の状態を確認し、必要な処置を終えてから開始することが重要です。優先順位を考えながら治療することで防げますので、歯科医師に相談しましょう。
よく歯科では、口腔内の状態が安定していることを確認してからホワイトニングを実施しています。むし歯・歯周病などがある場合は、治療完了後に行います。
知覚過敏を治しておく
普段から知覚過敏の症状がある方は、ホワイトニング前に治療を受けることをおすすめします。
知覚過敏用の歯磨き粉を使用したり、歯科医院でコーティング処置を受けることで、症状を軽減できる場合があります。フッ素濃度の高い歯磨き粉やジェルで歯を保護するなど、自宅でできるケアをしましょう。
低濃度のホワイトニング剤から始める
痛みが心配な場合は、低濃度のホワイトニング剤から始めてみましょう。
歯科医師や歯科衛生士などがいるクリニックでしか扱えないオフィスホワイトニング剤は濃度を変更できます。扱う薬剤の種類を変えてもらうなど対策し、まずはどの程度効果が出るか見てみるのもおすすめです。
低濃度のまま期待していたホワイトニング効果が得られるのであれば、それ以上追加でホワイトニングする必要はありません。「もう少し白くしたい」「今回痛くなかったので次は少し濃度を上げたい」と思ったときは再度相談し、使うホワイトニング剤を調整してもらいましょう。
象牙質が露出している部分を覆ってもらう
歯の表面にあるエナメル質にヒビや傷が入っていたり、歯茎が下がって象牙質が露出していたりするところは、痛みやすくなります。
象牙質が出ているか事前にチェックしてもらい、痛みそうな部分があればあらかじめ覆ってもらうのもひとつの手段です。ただし、当然ながら歯を覆ってしまうとホワイトニング用の薬剤が浸透せず、その部分だけ浮き上がったかのように仕上がってしまう可能性は考えられます。
歯科医師の指示を守る
薬剤の使用時間や回数を守らないと、歯への刺激が強くなることがあります。
特にホームホワイトニングでは自己判断で時間を延ばさないよう注意し、疑問があればその都度確認しましょう。正しい使用方法を守らないと期待した効果が得られなかったり、痛みや歯茎の炎症といった問題が発生する可能性があります。
強いブラッシングを避ける
強いブラッシングは歯の表面を傷つけ、知覚過敏を招く原因になることがあります。
やわらかめの歯ブラシを選び、力を入れすぎず小刻みに動かして磨くと、歯や歯ぐきへの負担を減らしやすくなります。
よく歯科のホワイトニングについて
よく歯科では、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングの両方を取り扱っており、患者さんのご希望の白さや歯の状態、ライフスタイルに応じてお選びいただけます。
私は長年歯科口腔外科医としての臨床経験があり、総合病院の歯科口腔外科での勤務経験もあるため、有病者の方の歯科治療にも対応可能です。持病のある方にも安心して歯科治療を受けていただけるように、体調に配慮しながら診療を心がけております。
ホワイトニングは口腔内の状態が安定していることが必要です。むし歯・歯周病などがある場合は、治療完了後に行います。一時的に知覚過敏が起こることがありますが、適切な対処法をご案内いたします。
また、当院は皮膚科と併設しているため、金属アレルギーの検査や口腔内の炎症による掌蹠膿疱症のような疾患の診断・治療が可能です。金属を使わない「メタルフリー治療」もおすすめしており、セラミックなどの素材であれば、金属アレルギーの心配がなく、むし歯にもなりにくいといったメリットもあります。
ホワイトニングに関するご不安やご質問がありましたら、お気軽にご相談ください。患者さん一人ひとりのお口の状態に合わせた、安全で効果的なホワイトニングをご提案いたします。

まとめ
ホワイトニングで痛みやしみる症状が出る原因は、薬剤による刺激、知覚過敏、歯の表面の状態、むし歯や歯周病など、さまざまです。
多くの場合は一時的なものですが、痛みを感じたときは無理をせず、冷たいものや熱いものを避ける、知覚過敏用の歯磨き粉を使用する、歯科医師に相談するなど、適切に対処することが大切です。
事前にむし歯や歯周病を治療しておく、低濃度のホワイトニング剤から始める、歯科医師の指示を守るなど、予防策を講じることで、痛みのリスクを抑えることができます。
ホワイトニングは、適切な方法で行えば安全に歯を白くすることができる治療です。不安なことがあれば、遠慮なく歯科医師に相談してください。
よく歯科では、患者さんが安心してホワイトニングを受けられるよう、丁寧なカウンセリングと適切な施術を心がけています。歯を白くしたいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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著者情報

院長
伊藤 翼 (いとう よく)
皆さん、こんにちは。
このたび【よく歯科】を開院いたしました、
院長の伊藤 翼(いとう よく)です。
私は大学病院や尾道総合病院にて、17年間口腔外科の治療に携わってきました。
そのため、全身状態を把握しての歯科診療を得意としており、当院でもその経験をもとに、医科の先生方と連携を図りながら、地域の皆さんに高水準の歯科診療をご提供いたします。
また、口腔がんの診査診断・治療の経験も多いので、一般的な歯科医院では難しい症状の判別も行うことができます。
口腔がんは口内炎と間違えて発見が手遅れになることも多いので、大きな病院まで行かなくても早期発見ができるよう細心の注意を払って診療を行います。
お口の健康から、地域の皆さんの身体の健康づくりに貢献できるよう、誠心誠意診療を行ってまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
- 2007年3月
北海道医療大学歯学部歯学科 卒業 - 2007年4月
広島大学病院 歯科研修医 - 2012年4月
広島大学病院 顎・口腔外科 医員 - 2015年4月
JA尾道総合病院 歯科副部長 - 2022年4月
JA尾道総合病院 歯科主任部長
資格・所属
- 広島大学 博士号
- 歯科研修指導医
- 日本口腔外科学会 認定医
- 緩和ケア研修指導医師
